会社員でも家を購入したら確定申告が必要? 税金が還付される「住宅ローン控除」とは?

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会社員にはあまり馴染みのない「確定申告」ですが、住宅を購入した際にはこれを行うことで住宅ローン控除を受けることができます。では、具体的にどんな減税措置が受けられ、どのような手続きが必要なのでしょうか? 専門家に聞きました。

●控除を受けるための「適用要件」とは?

お話を伺ったのは、難しい税金の問題を丁寧に解説するコラムが人気の税理士・田中卓也氏。まずは、そもそも住宅を購入したら必ず確定申告を行わなければならないのか、申告を怠った場合、罰則などは発生するのか聞いてみました。

田中氏「まず、家を購入した際の確定申告は義務ではないので、やらなかったからといって罰則はありません。確定申告とは『〇〇円の所得があったので所得税を〇〇円払います』と自分で税務署に申告する制度であり、会社員の方であれば勤務先が代わりに行なう年末調製がその役割を担ってくれます。ただ、確定申告をしないと「住宅ローン控除」の減税措置を受けることができないため、手続きをしておくに越したことはありません。住宅ローン控除とは所得を控除する税額控除(※)の1つであり、原則として住宅ローンを利用して家を購入した方に適用される制度になります」

※税額控除...課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税から一定の金額を控除するもの

なお、住宅ローン控除を受けるには様々な適用要件があるといいます。

田中氏「たとえば、新築の場合『新築または取得の日から6か月以内に住んでいること』『借り入れした年の合計所得金額が3000万円以下であること』『ローンの返済期間が10年以上であること』などが主な要件となってきます」

加えて、適用要件には『床面積の2分の1以上が自分の居住用であること』も含まれており、事務所兼自宅を検討している場合は確認が必要です。

また、マンションの場合『床面積が50㎡以上であること』という適用要件にも特に注意する必要があるといいます。

田中氏「マンションの場合は階段や通路などの共有部分は床面積に含めず、専有面積で判断されます。戸建てであれば、壁や柱の厚みの中心線で寸法を測る『壁芯(かべしん)面積』で床面積を求めますが、マンションでは、壁の内側を寸法する『内法(うちのり)面積』で求めていきます。しかし、建築基準法によると床面積は壁芯面積を指しているんです。要は、パンフレットなどに記載される専有面積より実際の床面積がやや狭くなってしまうため、完成したら50㎡以下というケースがあるんです。不安な方は登記簿謄本をチェックしたり、すでに建築済みの物件であれば実際に見てみましょう」

ちなみに、夫婦の共有名義で住宅を購入する場合、床面積についてはそれぞれが持つ床面積で判断するのではなく、建物全体で50㎡以上であれば住宅ローン控除が適用されるそう。とはいえ、共働き夫婦の場合にはこんな注意点も。

田中氏「たとえば、夫婦個別で住宅ローンの借入れをした場合、当初は働いていた妻が専業主婦になることもありますよね? その場合には妻の住宅ローン控除は活用されなくなってしまいます。そもそも『住宅ローン控除』は補助金ではなく、税額控除なので納めている税金がなければ控除も適用されないということです」

さらに、先述の『ローンの返済期間が10年以上であること』にも気をつける必要がある。

田中氏「前提として借入金は銀行などの金融機関に限り、10年以上の分割返済が要件になります。例えば、当初A銀行で15年のローンを組み、6年目にB銀行へ変更したとします。その場合、A 銀行では15年のうち6年は控除されますが、一方のB銀行では返済の開始から完済までが9年となってしまうので適用対象外になってしまいます。要するに、住宅ローン控除を受ける際は契約時に10年以上の返済期間を設定することが重要なんです」

●気になる控除期間と控除額は?

いくつかの要件を満たすことで適用される住宅ローン控除。では、実際に控除される期間や控除額はどれくらいなのでしょうか。

田中氏「一般住宅の場合、控除期間は10年間、借入金は4000万円が限度額です。そして、控除されるのは借入金×1%のため、借入金4000万の方は1年間で最大40万円が控除されることになります。ただし、長期優良住宅、低炭素住宅などの認定住宅を購入される方であれば、借入金の限度額は5000万円にまで増えます」

年間で最大40万円の税額控除が受けられるとなれば、家計への負担もかなり軽減される。ただし、場合によっては丸々40万円が控除されないこともあるという。

田中氏「住宅ローン控除は原則として所得税から控除されますが、人によっては控除前の所得税額が控除可能額を下回ってしまうケースがあります。たとえば、最大40万円の住宅ローン控除の適用対象者がいるとして、その年の所得税額が30万円とすると、残りの10万円が控除しきれない分になります。その控除しきれなかった分は住民税から控除されるのですが、住民税の控除は13万6500円という限度額が決まっているんです。例えば、年収600万円の人が4000万円を住宅ローンで借りたとしましょう。所得税が約16万円とすると、所得税からの住宅ローン控除額は40万円(4000万×1%)-16万円で約24万円。そこから、住民税の13万6500円を控除すると、残りの10万3500円は控除されなかったことになります。これを私は『節税ロス』と呼んでいます。もし、不安に思われた方は専門家に試算してもらうと良いでしょう」

●確定申告に必要な書類をチェック

最後に、確定申告を行う際に必要な書類をチェックしておきましょう。

・確定申告書A

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

・土地・建物の登記事項証明書

・土地・建物の売買契約書、請負契約書の写し

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

・源泉徴収票

認定住宅や中古住宅の場合には、この他にも用意すべき書類があるとのこと。なお、給与所得者は控除を受ける初年度に確定申告を行えば、2年目からは年末調整で控除が適用されます。(税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」の内容に記入し、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」とともに勤務先へ提出)

1年間で最大40万円もの還付が受けられる住宅ローン控除はとても魅力的な制度。住宅の購入を考えているのであれば、活用しない手はありません。

取材・文:小野洋平(やじろべえ)

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取材協力

田中卓也

田中卓也税理士事務所代表

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