中古不動産売買時の「内覧」。売り手と買い手がそれぞれ気を付けるべきポイントは?

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中古住宅を比較・検討するにあたっては「内覧」が欠かせません。中古住宅の場合は、現オーナーが実際に暮らしている物件を見学するケースも多く、リアルな生活のイメージが膨らみやすいのもメリット。一方、売りたい側にとっても、物件の住み心地を直接アピールできるチャンスといえるでしょう。

売りたい側、買いたい側、双方にとって大切な「内覧」という機会。前者は我が家を少しでも魅力的に見せたいでしょうし、後者はその良し悪しをしっかりチェックしておきたいところです。そのためにはどんな準備をし、どんなことを意識して内覧に臨めばいいのでしょうか? 

これまで数多くの内覧に立ち会ってきたソニー不動産エージェントの細川司郎が、売却側、購入側それぞれの視点でポイントを解説します。

●売却側のポイント1「分譲時のパンフレットや修繕履歴などの資料を用意しておく」

まずは、売却側のポイントから。売主としては当然、少しでも多くの人に見てもらい、少しでもいい条件で買ってくれる人に巡り合いたいところ。とはいえ、ただやみくもに内覧数を増やせばいいというものでもないようです。

細川「中古住宅における内覧の歩留まり率※は2割ほどといわれています。つまり、5件の内覧があれば成約になる可能性が高いということですね。ただ、これはあくまで平均値で、なかには15件の内覧があっても決まらないケースもあります。それはやはり、準備不足で魅力をうまく訴求できていなかったり、見せるポイント自体がズレているということだと思います。」

そうした問題点を指摘し、ズレを解消するアドバイスを行うのも営業担当者の仕事だといいます。では、物件の魅力をうまくアピールするには、どんな準備をすればいいのでしょうか?

細川「可能であれば、資料はできる限り用意していただいたほうがよいと思います。たとえば、分譲マンションの売却であれば分譲時のカラーパンフレットですね。設備をはじめ、物件自体の魅力がぎゅっと凝縮された資料ですので、そちらと照らし合わせながら見学ができるとスムーズです。また、設計や建築の各種証明書も、あれば準備しておくといいでしょう。スペックや劣化、老朽化の状況もわかりやすくなります。」

もし、そうした資料を紛失、あるいは捨ててしまった場合は、「お手製の資料」でも構わないといいます。

細川「手書きレベルでも、リフォームの履歴などを残しておいたりするのはよいと思います。また、オーナーが立ち会えず代理人に一任する場合は、『ここをアピールしてください』というポイントを資料にして送ってこられる方もいらっしゃいますね。」

●売却側のポイント2「実際の暮らしぶりを素直に伝え、ネガティブなポイントも隠さない」

では、実際に内覧で「お客様」をお迎えする際、どのような点を重点的にアピールすべきなのでしょうか?

細川「重要なのは、内覧に来られた方に実際にそこに住んだ時のイメージを持っていただくこと。いま実際に住んでいる人の視点で、暮らしぶりや感じていることをそのまま素直に語っていただくのがいいと思います。たとえば、スーパーは近所のここを使っていますとか、お隣にはこういう人が住んでいて、良い人ですよとか、住んでみないと分からないことを正直に。設備について説明するときも、ただスペックを語るより、これが付いていることによってどんなに便利なのか、どう感じているかを知ってもらうのが一番です。一方、家の構造といった専門的なところは、営業マンに説明してもらって両面からアピールできると、なおよいですね。」

ただし、どんな物件にも一長一短はあります。魅力をアピールする一方で、ネガティブポイントについてもしっかり伝えておく必要があるようです。

細川「私からは、ネガティブポイントについては全て包み隠さず話してくださいとお願いしています。やはり何千万円もする買い物ですから、何か隠しているんじゃないかと疑われてしまうと敬遠されます。たとえば、ここが壊れている、窓を開けると騒音が響く、この部屋は日当たりが悪くて暗いなど、でしょうか。内覧の段階で変に隠すと、その後せっかく話が進んでも最終的に破談になってしまうこともあります。要は、そんなデメリットも許容した上で買っていただける方を見つけるのが一番だと思います。」

場合によっては、ネガティブポイントをあえて先に明かしてしまうのも一つの手だといいます。そのほうが、後で判明するよりずっと印象がいいのだとか。

細川「たとえば大通りに面していて音がうるさい部屋があれば、あえてそこの窓を全開にしておく。まずはマイナスの状態から入り、『でも、窓を締めるとあまり気にならないですよ』などと、最終的にポジティブな印象になるような見せ方をすることも大事です。」

●売却側のポイント3「ハウスクリーニングや、費用対効果の高いリフォームで印象をアップさせる」

また、掃除を徹底したり、場合によってはハウスクリーニングを入れるなどして、「商品」を磨き上げておくことも重要なポイントです。プロの清掃業者に頼むとなるとコストもかかりますが、それに見合うだけの価値はあると細川。

細川「ハウスクリーニングは70㎡だと9万円くらい。バルコニーなども徹底的にやってくれますし、9万円程度なら売却額のアップ額で十分元をとれます。初期投資と考え、プロを入れたほうが私はよいと思います。」

そのうえで、可能であればモノをしっかり整理し、「モデルルーム」のように空間をプロデュースしたいところ。ただ、現実的に居住中の家でそこまで小ぎれいにまとめることは難しいため、できる範囲で構わないそう。

細川「リビングなどメインの空間が乱雑に見えないよう、ある程度整っていればよいと思います。お客様をお迎えする玄関は第一印象を決めますので、スッキリと見せることがポイントです。引っ越し前だと段ボールなどがたくさんあったりすると思うのですが、できるだけ一か所にまとめておくとか、最低限それくらいはお願いしたいところです」

あとは、意外と盲点なのが「本棚」。内覧前にラインナップをチェックし、精査しておくことが望ましいとのこと。

細川「もちろん趣味嗜好や思想は当人の自由です。ただ、内覧にあたっては、それが悪い方向に転ぶ場合もあります。あまり偏った本は本棚から外しておいたほうがいいでしょう。ただ、一般的な趣味の本であれば、あえて残しておくのも手です。現に、内覧に来た人が本棚から自分と共通の趣味を見つけ、そのまま話が盛り上がって成約に至ったなんてケースもあります。中古住宅の場合は個人の売主から買主への取引になるので、余計に『誰から買うか』ということを気にされる方が多い。そのため、本棚から売主のパーソナリティをちょい見せするくらいの演出はアリかもしれません。」

さらに、リフォームで物件の価値を底上げする方法もあります。なかでも、比較的安価で効果的な、コスパのいいリフォームが「クロスの張り替え」なのだとか。

細川「クロスは空間に占める面積が広いので、ここを変えるだけで一気に部屋が明るくなります。70㎡の部屋のクロスを全て張り替えた場合で、ハウスクリーニング込みで40万円くらいですから、費用対効果は高いですね」

●売却側のポイント4「希望の価格ラインで買い手がつきそうな場合は、できるだけ早く売る」

まずはこうした諸々をふまえ、しっかり準備すること。そして、内覧がスタートしたら「できるだけ早く売る」ことも重要なポイントだといいます。

細川「とにかく、売ると決めたら早く売る。これが鉄則です。中古住宅は周囲の相場の影響を受けやすく、売り時を迷っているうちに同じような規模・条件の家がさらに安価で出されて、せっかく検討いただいていたお客様を取られてしまうケースも珍しくありません」

内覧の申し込みが多い場合は特に「もっと高く売れるかも...」などと欲を出してしまいがち。しかし、最初に設定した価格に近いラインで買い手がつきそうなら、すぐ売ってしまうのが得策のようです。

細川「これは不動産売却においてよくあるケースなのですが、一番最初に購入のお申し込みをいただいたお客様を断って、後日振り返ったときに、結果として、最初の方の申し込み金額が最も高かったということがあります。したがって、希望する売却価格から交渉が入っても、最初のお客さまは大切にされたほうがいいと思います。」

もちろん、あまりにも非常識な値引き交渉に応じる必要はありませんが、あまり頑なに「この金額以外では売らない」などと凝り固まってしまうと、成約は難しくなるそうです。

細川「最初からピンポイントな値付けはせず、ある程度の金額の幅を持たせることが大事。『これくらいまでだったら売ってもいい』という許容ラインを決めておくといいでしょう。」

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●購入側のポイント1「内覧数は5件ほどに絞る」

次に、購入側のポイントについて。一生に一度の大きな買い物だけに、希望に叶うベストな物件に巡り合いたいところです。そのためには少しでもたくさんの家を見たほうがいいのかと思いきや、細川氏は「見るのは5件くらいに絞ったほうがいい」とアドバイスします・

細川「買う人は、だいたい5件以内で決めているケースが多い。逆に10件も20件も内覧している人は、自分でも何をお部屋に求めているのかが曖昧になってきて、迷走している可能性が高いです」

自分が本当に住みたい家のイメージや条件がしっかり固まっていれば、その希望に叶う物件だけを効率的に巡ることができます。「しっかり吟味した」という安心感を得るためだけに数をこなすのは、意味がないようです。

細川「私たちのような営業マンは、しっかりお客様にヒヤリングを行い、どんな家を希望されているか具現化した上で内覧数を絞り込むことが重要です。無意味な内覧はお客様に負担をおかけするだけで何の意味もない。そのため、やたらとアレも見ましょう、コレも見ましょうと提案してくる担当者には要注意です。」

●購入側のポイント2「最も需要なのは『ここに住みたい』というフィーリング」

では、物件を絞り込み、実際に内覧に赴く際には、どんなことを意識してチェックすればいいのでしょうか?

細川「重視するポイントは人それぞれですし、マンションか戸建てかによっても変わってきますが、最も大事なのは『ここに住みたいか?』という第一印象、肌感覚のようなものだと思います。まずはフィーリングを最優先にしていただきたいです。」

ただ、いくらフィーリングが合っても欠陥や不具合などはしっかりチェックしておきたいところ。戸建であればインスペクション(建物診断)を入れる等プロにお任せしてしまうのもアリだといいます。

細川「あとは管理の状況や今後の修繕の計画についても、しっかり聞いておくべきですね。管理費や修繕費は毎月かかるコストなので、しっかり費用に見合うだけのことがなされているか、明瞭な会計になっているか、必ずチェックしていただきたいと思います。マンションの管理規約や理事会の議事録などを事前に閲覧させてもらうのもいいでしょう。修繕計画などの経緯が記録されていたりするからです。」

もし、議事録の提出を渋る場合は、何か隠したいことがあるのかもしれません。失敗できない買い物だけに、そうした疑いの目を持つことも重要なようです、

それ以外に、購入希望者が必ず質問しておいたほうがいいことなどはあるのでしょうか?

細川「わずかな時間の内覧では分からない部分、特に周辺環境については聞いておいたほうがいいですね。特に、近所にどんな人が住んでいるか、隣や上下階の住人と仲良くしているか、トラブルはないか、といったところです。また、買い物環境や幼稚園、学校の評判などもぜひ聞いていただきたいと思います。世間話のような感覚でいいので、その人がどんな生活をしているのか具体的に聞いてみてください。」

●購入側のポイント3「リノベーションを考えている場合は、専門家帯同で」

また、最近は中古住宅を購入し、大胆なリフォームやリノベーションをする人も増えています。大規模改修を前提に購入する場合は、また別のチェックポイントがあるようです。

細川「リノベーションの場合は、建物の構造も重要なポイントです。在来工法※2なのか、壁式※3なのかラーメン構造※4なのか、直床※5なのか2重床※6なのか、間取り変更の自由はどこまできくのか等。ただ、これらの知識を身に着けるのは大変なので、専門知識を備えたプロに依頼することが望ましいと思います。営業マンは場数も踏んでいますし、良いリフォーム業者も知っています。購入を進めていたら実は望んでいたリフォームが出来なかったのでは、それこそ無駄になってしまうので、営業マンに確認しながら購入活動を進めていくのが大事になってきます。」

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●まとめ

内覧の目的は言うまでもなく、売却側は「いい買い手」、購入側は「いい家」に巡り合うこと。その手段として、売り手・買い手も信頼できる会社や担当者を見つけ、その人にどんどん頼って進めることが大きなポイントのひとつと言えそうです。

※1・・・内覧者から申し込みが入り、実際に物件を購入する確率のこと。例えば、内覧が5組入り、その中から成約したら歩留りは20%となる。購入者÷内覧者数=歩留り率

※2...木材を使用した土台と柱と梁などで建物を組み立てる工法のこと。

※3・・・柱や梁を使わないで、で躯体にかかる力を支える構造のこと。

※4・・・柱と梁で骨格を造り、そこに壁を張っていく構造のこと。

※5...鉄筋コンクリートの床スラブにカーペットやフローリングを直張りする工法のこと。

※6...カーペットやフローリングを床スラブへ直に張るのではなく、間に緩衝材を入れて床板を二重にする工法のこと。

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