カルチャー誌のライターと歩く!荻窪は隠れた個人店を発掘する楽しさがある街

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東京都杉並区内にある荻窪。閑静で暮らしやすい雰囲気と、庶民派な商店街やおしゃれなショッピングビルなどのバランスが良く、中央線沿線の駅の中でも人気のエリアです。

実は、大正から昭和初期にかけては「西の鎌倉、東の荻窪」と呼ばれ、都心に近い別荘地として名を馳せていたそう。当時は、政治家や文化人も数多く住居を構えていたとか。

そんな荻窪のいまを知るべく、今回街歩きの案内人をお願いしたのは、『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社)の著者で編集者・ライターの神田桂一さん。これまで、雑誌『POPEYE』『ケトル』などのカルチャー誌で、荻窪を紹介する記事も多数寄稿しています。そんな神田さんと一緒に荻窪の街を歩いてみました!

●本屋にはちみつ、暮らしを彩るショップが街のいたるところに

JR中央線と東京メトロ丸ノ内線の2路線が通る荻窪は、JRで新宿駅まで約11分、丸ノ内線で東京駅まで約23分と、都心へのアクセスも良好。また、丸ノ内線は荻窪駅が始発・終点駅になるため、混雑する通勤時間帯も座れる可能性が高いはずです。

「荻窪にはチェーン店も多くありますが、ローカルな魅力を醸し出す個人店もあるんですよ」と話す神田さんに、まず紹介してもらったのが荻窪駅から徒歩10分ほどの場所にある「Title」。カフェを併設する小さな街の本屋さんです。

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店主の辻山良雄さんは、以前はリブロ池袋店でのマネージャー経験を持つ"書籍販売のプロ"。本に関する場をつくりたかったと、「本屋」「カフェ」「ギャラリー」の3つを備える「Title」を始めました。

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ご自身が外国文学や哲学、絵本が好きだということで、珍しい本に出合うことも。「近所の人から気軽に訪れてもらえるように、いろいろなジャンルをそろえています」と辻山さん。雑誌から週刊誌まで、確かに種類が豊富です。

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また、本にまつわる知識量が膨大な辻山さんとあって、せっかくなら会話も楽しみたいところ。「こんな本が読みたい」「おすすめの本を知りたい」と伝えると、話を聞きながら一緒に本を選んでくれます。こうしたアットホーム感も、こうした街の本屋さんならでは。

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開店以来、頻繁に通っているという神田さんは、「Title」の魅力について、「とがり過ぎているわけではないですが、しっかりとしたこだわりがあって、かゆいところに手が届く、街の本屋さんらしい本屋さんだと思います」と話します。

「Title」のように "一点突破型"のお店はほかにもあります。甘い物好きな神田さんと次に向かったのは、はちみつ専門店「ラベイユ」の荻窪本店。南仏プロバンスの別荘をイメージした店構えが何ともおしゃれ。

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瓶詰めされたものから、量り売りまで10カ国80種類以上のはちみつをそろえているというから驚きです。ハチミツの種類は、桜やひまわりといった花や、さくらんぼや枇杷などの果実まで、何から採れるかによって、繊細な甘みの違いが楽しめます。

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なんといっても嬉しいのは、試食ができること。おすすめのはちみつを中心に色々試せるので、お気に入りが見つかりそうです。

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お店の方から試食を勧められ、神田さんが試したのは「宮古島の花々」。「なんか、トロピカルな味がします」(神田さん)。

また、荻窪はパン屋さんの激戦区。さまざまなパン屋さんがひしめきますが、この日訪れたのは、手軽な値段のパンが並ぶ「ブーランジェリー ブリュン」。

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食パンや惣菜パンなど、多種多様なパンが並ぶ店内。選ぶ楽しみを存分に感じてもらいたいと、100円から200円のパンがほとんど。

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小学生でも気軽に訪れてほしいと、原料にはしっかりこだわりながらも、低価格にしているそうです。「お財布にも優しくて、しっかりおいしい。庶民の味方とはこういうお店のことではないでしょうか」と神田さん。

駅徒歩2分くらいの場所に、大福餅専門店も発見! 

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滋賀県大津市に本店がある「湖国近江和菓子処 団喜」は、契約農家が生産する最高級もち米で柔らかに仕上げた「羽二重餅」を使用。毎朝大津の工場から作りたての大福餅が届くそう。定番の塩大福餅をはじめ、マンゴーホイップ大福といった変わり種も。

「生活圏内に、『これだけは負けない!』とひとつのジャンル力を入れている個人店があると、暮らしの充実度が高まるはずです」(神田さん)

●散歩で立ち寄るならここ!風情を感じるレトロな建物と公園

パンやおやつを買ったら、天気のいい日は「大田黒公園」へ足を伸ばしてみるのもおすすめです。

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明治から昭和に活躍した音楽評論の第一人者・大田黒元雄の屋敷跡地に造られたこの公園は、園内を巡りながら庭園を鑑賞するスタイルの回遊式日本庭園があります。

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門をくぐると樹齢100年を経たイチョウの並木道が。街歩きをした日は冬場だったため、残念ながら葉は落ちてしまっていましたが、秋になると黄色く染まって、さぞや美しいことでしょう。

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日本庭園は、春にはヤマザクラやツツジ、秋にはモミジと、四季折々の表情をみせてくれます。紅葉シーズンの夜間ライトアップは見ものです。

大田黒公園から荻窪駅に戻る途中に立ち寄ったのは、「荻窪のランドマークスポットとしておなじみ」だと神田さんが話す「西郊ロッヂング」。

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住宅街に突如あらわれるヴィンテージな外観は、独特な存在感です。青銅のドーム型の屋根がとってもユニーク。

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1931年に建築された「西郊ロッヂング」は、登録有形文化財にも指定されている建物で、現在は旅館と単身者用の賃貸として運営されています。

創業者が宮内省営繕課の設備技師として働いていたことから、当時では先進的な洋式の建物から着想してデザインしたそう。ちなみに、「西郊ロッヂング」とは、西の郊外の下宿という意味から名付けられたとか。建てられた頃は学生から軍人まで、さまざまな人が暮らす高級下宿として営まれていたようです。

現在、「西郊ロッヂング」の暖簾を守るのは三代目の平間美民さん。荻窪生まれ荻窪育ちと、生粋の荻窪人です。「子どもの頃は、この辺一帯は田んぼでしたが、時代とともに住宅が増えて、暮らしやすい街になってきたと思います」と教えてくれました。

●利便性と暮らしの楽しさ、両方を叶えてくれる街

また、駅周辺の利便性の高さもなかなかのもの。駅すぐにある24時間営業の西友の中には、都内では珍しい24時間営業の無印良品が。駅直結のLUMINEもあり、大型店が充実しています。駅西口から1分ほど歩くと、天然温泉「なごみの湯」を発見! 保湿効果が高い泉質の温泉が駅すぐにあるのはうれしいですよね。

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岩盤浴や人気のロウリュも楽しめて、朝10:00から翌朝9:00まで営業しています。予定が何もない日は、遠出せずに温泉でのんびりした1日が手に入るのは魅力的です。

街歩きのラストは、1978年創業、今年40年目を迎えるカフェレストラン「JUNON」へ。

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喫茶店取材も多いという神田さんも「時間の流れがゆったりしていて、くつろげますね」と太鼓判。地元の人も足繁く通っているというJUNONは、創業してから今まで、ずっと変わらない定番のメニューがそろっています。

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幻のコーヒーと呼ばれた「トアルコトラジャコーヒー」(500円)をワンコインで飲めます。

「僕、レトロ喫茶ならでは空間が好きなんですよね。JUNONも40年変わらないとあって、味わいがある雰囲気は読書にもぴったりだと思います」(神田さん)
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ハンバーグやナポリタン、カレーライスなどが、700円から800円くらいのお値段でいただけます。懐かしの喫茶店ご飯の面影がしっかりといまに生きています。

暮らしの観点でスポットを紹介してくれた神田さん。最後、あらためて荻窪の魅力を聞いてみました。

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「荻窪には、発掘されていない"素敵な個人店"が、ほかの街にくらべるとまだまだ眠っていると思います。テレビや雑誌で紹介されていないレストランやバー、雑貨店などが街角のいたるところにあって、それらを見つけることが楽しみであり、散歩することが自分の感性を刺激してくれることにもつながるエリアだと思います。その積み重ねがきっと豊かな生活につながるはず。そして何より、人の顔が見える街でもあります。編集者やデザイナーもたくさん住んでいるので、街に出れば面白い人に出会えそう、そんな予感でわくわくできるのが荻窪ではないでしょうか」(神田さん)

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取材・執筆:末吉陽子
編集者・ライター。1985年、千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒。コラムやインタビュー記事の執筆を中心に活動。ジャンルは、社会問題から恋愛、住宅からガイドブックまで多岐にわたる。
http://yokosueyoshi.jimdo.com/

記事編集:有限会社ノオト

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