長期固定金利が有利?2017年住宅ローンの最新事情

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家電量販店大手のヤマダ電機が住宅ローンの提供を始めたり、都市銀行よりも低い変動金利を掲げるネット銀行の住宅ローンが注目を集めたり、不動産を購入する際の資金調達もさまざまな選択肢が見られるようになりました。

また、近年の住宅ローン金利は史上最低を更新し続けており、驚異的な低水準を維持しているのもご存じの通りです。住宅ローン専門のファイナンシャルプランナーである平井美穂さんに、最新事情を踏まえた「住宅ローンの借り方」を教えてもらいました。

●住宅ローンは「長期固定金利が有利」だけど......決して一択ではない!

マイナス金利が導入されて以降、住宅ローン金利は低水準が続いています。基本をおさらいすると、住宅ローンの金利タイプは返済の途中で金利が変動する「変動金利型」、そして一定期間、または全期間ずっと同じ金利が続く「固定金利型」に分けられます。

空前の低金利時代が続くなか、大手都市銀行のローン金利を定点観測し続けている平井さんは、特に下降が著しい「長期固定金利」に注目しているそうです。

「都市銀行4行を見ても、わずかに上げ下げを繰り返しつつ、住宅ローン金利はまだ低水準を維持しています。特に下降が著しいのは長期固定金利です。代表的な存在のフラット35は2016年8月に0.9%で底を打ちましたが、2017年7月でも1.09%をキープしているほどです」(平井さん 以下同)

変動金利は半年ごとに金利が見直され、適用金利に上限はありません。将来の金利上昇が心配な場合は、低水準を保っている長期固定金利を選ぶのがベターな選択になるでしょうか。

「私は住宅ローンを7年前に借りましたが、変動金利(0.945%)を選択しました。その時点での最優遇金利で、当時は2%を超えていた固定金利との差が大きかったからです。

しかし、現在は変動金利と固定金利の差が0.5%程度しかありません。10年固定においては変動金利よりも低い金利になっている金融機関もあるほど。長期固定金利が選ばれるのは最もだと思います。新規で借り入れる人も固定金利を選ぶ人が増えていて、変動金利で借りる人は4割程度です」

ただ、これは「住宅ローンを借りるなら変動金利と固定金利のどちらが◎」という単純な話ではない、と平井さんは釘を刺しました。

「変動金利は将来的な金利上昇というリスクもありますが、いざという時には貯蓄で一括返済ができたり、何年後かに退職金でローンを完済できたりといった状況があれば、あえて選択するという考えもあるでしょう。将来の金利がどう動くかは誰も予測できませんから、変動or固定に絶対の正解はありません。単純な二択問題ではなく、その時々の市場金利、そして保有資産状況、相場観などを加味して見極めるべきものなのです」

住宅ローンの相談の様子

●住宅ローンの借入額は年齢に応じてシミュレーションを

「低金利の借り時だから、年収の8倍まで借り入れて理想の住まいに」
「金融機関の審査が通ったら年間返済額は年収30%までOK」
「返済期間は最長35年が基本。繰り上げ返済をしていけば大丈夫!」

モデルルームで営業担当に話を聞いたり、ネットや雑誌の住宅ローン特集を見たりすると、さまざまな言説がささやかれています。しかし、金利についてもそうであったように、あくまでローンは家庭それぞれの事情、状況に合わせて考えるべき。一律のキャッチフレーズで切れるものではありません。

「金融機関によっては年収の8倍を借入可能額の目安にしているところもあります。また、返済負担率(額面年収に対して住宅ローンの年間返済額が占める割合)が30~40%まで借入申込ができるところもあります。しかし、審査が通っても、それは金融機関にお墨付きを与えてもらった、ということにはなりません。

一概に年収の何倍なら安全とはいえませんが、借入額は世帯収入の5倍程度にとどめるのが理想だと思います。さらに返済負担率は20%以内に抑えておきましょう」

住宅ローンの返済は長期に渡るため、自分と家族のライフプランをしっかり見据えていく必要があります。住宅ローンで家計が回らなくなって多重債務に陥ったり、老後破綻を招いたりといった深刻なケースも決して珍しくありません。

「概ね45歳以下で 住宅ローンを借り入れる場合、ほとんどの方が最長の35年ローンを選んでいます。繰り上げ返済をしなかった場合、80歳までローン返済が続くプランを立てているわけです。本当にこれで大丈夫でしょうか。

私の試算によると、45歳で5,000万円を借り入れた場合、(金利1.2%、35年返済)、65歳時の残高は2,400万円 も残ってしまいます。繰り上げ返済をしようと思っても、教育資金がかかる時期にあたると、なかなか思うようにできないのが現実でしょう。この2400万円は退職金で返せる範囲なのか。そして退職金をローン完済に充てても、老後の生活は年金だけで足りるのか。しっかり考えておかなければ、容易に35年ローンは組めないはずです」

月々の返済額と年収で単純に計算するのではなく、年齢に応じたキャッシュフロー表を組んで綿密にシミュレーションしなければ、ベストの選択はできない、と平井さんはアドバイスしてくれました。

教育費はもちろん、住宅関連費用でいっても管理費や修繕積立金、固定資産税など、住宅ローンを支払いながらも多くの出費が想定されます。金融機関やファイナンシャルプランナーに相談し、人生のキャッシュフローを考えてみるのもおすすめ。「空前の低金利」といった魅惑的なフレーズに踊らされず、長期的な視点で考えていきたいですね。

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取材・文:佐々木正孝
ライター/編集者。有限会社キッズファクトリー代表。情報誌、ムック、Webを中心として、フード、トレンド、IT、ガジェットに関する記事を執筆している。

編集協力:有限会社ノオト

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取材協力

平井美穂さん

ファイナンシャルプランナー(CFP)
平井FP事務所代表。新築マンションの販売会社、金融機関を経て独立。住宅ローン専門のファイナンシャルプランナーとして20年以上、5000件以上の相談実績がある。近著に『住宅ローン借り方・返し方 得なのはどっち?』(河出書房新社)
▼平井FP事務所
http://fp-hirai.com