伝統と新しさが共存する「人形町」、暮らしを彩るスポットを探る

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花のお江戸の中心地として栄えた日本橋。その一角を成しているのが「人形町」です。下町の面影がただようこのエリアは、かつて人形浄瑠璃をはじめ芝居小屋が建ち並び、人形を作る人や修理する人、操る人がたくさん暮らしたことから、俗に人形町と呼ばれ親しまれていました。

演劇ゆかりの地として今にその名を残すこの界隈は、明治時代には全国に先駆けて商店街の原型となる組織が作られ、今日にいたるまでにぎわいを生み出し続けています。昔ながらのお店はもちろん、最近オープンしたお店まで、ちょっと路地を覗いてみると、毎日の暮らしを彩ってくれそうなお店やスポットが目白押し。 "伝統"と"今"が交差する情感たっぷりの人形町、早速歩いてみたいと思います!

●日本神話に最初に現れた神様を祀る安産祈願のメッカ

まず訪れたのは、安産・子授けの神様「水天宮」。厳密にいうと「人形町」と呼ばれる「日本橋人形町」ではなく、大通りを挟んだ「日本橋蛎殻町(かきがらちょう)」にある神社なのですが、このエリアの観光名所とあってせっかくなので紹介したいと思います!

水天宮

安産祈願に訪れる人が後を絶たない「水天宮」。江戸時代に社殿の前にあった鈴紐「鈴の緒」を月に一度新しく交換する際に、腹帯として用いた人が安産祈願をしたところ、願いが叶ったことからそのご利益にあやかりたいと参拝する人が増加。こうしたことから安産・子授けの神社として一躍有名になったとか。

子宝いぬ

境内には親子愛を感じる縁起物があり、代表的なものがこちらの「子宝いぬ」。お産が軽く多産な犬にあやかっているのだそう。

十二支

周囲にあしらわれた十二支のうち、自分の干支をなでると安産や子授け、子どもの無事な成長といったご利益があるといわれています。日々たくさんの人になでられているからか、干支の部分だけピカピカになっていますね。

●何もしない日のお散歩は「甘酒横丁」や「浜町緑道公園」

続いて、人形町に足を運んでみましょう。

からくり時計

東京メトロ半蔵門線「水天宮駅」A1出口と、日比谷線「人形町駅」A7出口のちょうど中間にあるこちらの「江戸落語からくり櫓(やぐら)」。江戸庶民をわかせた人形芝居の魅力を伝えるべく、午前11時から午後7時までの毎正時に小話「人形町の由来」が流れ、櫓の上部には江戸の街並みや町人の暮らしが伝わる人形が登場。2009年11月に登場以来、人形町のランドマークとして親しまれています。約2分間の人形劇は一見の価値ありです!

「江戸落語からくり櫓」から人形町駅方向に1分ほど歩くと、グルメひしめく「甘酒横町」の入り口にたどり着きます。明治の頃、この界隈付近には「末廣亭」「喜扇亭」「鈴本亭」の寄席があり、粋な江戸っ子が行き交っていたそう。

柳屋

なかでも行列必至の有名店が、「高級鯛焼本舗 柳屋」。大正15年に創業開始以来、"東京3大鯛焼き店"の一つ、との呼び声高いことで知られています。

たい焼き

北海道産小豆をふっくらと煮上げ、精度の高めの砂糖を加え練り上げています。店頭で職人さんが小気味よく焼き上げる鯛焼きは、サクッモチッとした生地に、繊細な甘みの餡が包まれ"甘味欲"が満たされること請け合いです。

緑道公園

甘酒横丁をさらに進むと、憩いのスポットとして知られる「浜町緑道公園」に行き当たります。

明治座のすぐ近くとあってか、緑道の入り口付近には歌舞伎・勧進帳の「弁慶」の像がシンボリックにお出迎え。約300mにわたり緑が連なる場所では、ランチをする人、仕事の合間に休憩をしている人、親子でのんびりくつろぐ人など、ゆったりとした時間が流れています。

●すき焼きにかつ丼、デリまで選び放題! ランチは下町が育んだ美食に舌鼓

今半

ランチスポットにも事欠かないこのエリア。古くから営業する老舗が多いのも魅力です。すき焼きといえばここ「人形町 今半本店」。

ポップ

高級店として知られていますが、ランチは一番安い「すき焼弁当」だと2,484円 と意外とリーズナブル。ちなみに全国に名をとどろかせる一流店らしからぬ(?)超お得なセール、その名も「ダイナマイトセール」が平日の朝11時~12時の1時間限定で開催。 近隣に住んでいたら毎日通ってしまいそうですね。

小春軒

洋食ではずせないのが「小春軒」。明治の政治家・山縣有朋が椿山荘に暮らしていた頃のお抱え料理人だった初代・小島種三郎さんが、明治45年に創業。戦争で一時疎開を余儀なくされたそうですが、100年以上にわたり当時と変わらぬおいしさで愛されています。

スタッフ

現在、三代目(83歳)を筆頭に、四代目(52歳)・五代目(21歳)が3世代で暖簾を守っています。お店が忙しくなければ江戸っ子の皆さんと小粋な会話も楽しめることも。アットホームな雰囲気がとっても素敵です。料理の材料は人形町の老舗肉屋や築地の仲卸などから仕入れているそうで、古くからの縁があるからこそ、いい材料を譲ってもらえるという。

かつ丼

ここを訪れたら必ず食したいのが、「小春軒特製かつ丼」。戦後に一時中断していたそうですが、三代目の幹男さんが、幼い頃に食べていた味の記憶を辿り、20年前に復刻させたそう。小さめにゴロゴロと炒めた玉ねぎやニンジン、じゃがいもが乗ったかつ丼には、デミグラスを少し加えた甘めのタレで味付けされたジューシーなカツが乗せられ、かなりボリューミー! 深みとコクのある味が食欲をそそります。「野菜が煮える」×「卵が半熟になる」×「カツが揚がる」と、それぞれのタイミングをそろえないといけないということで、息のぴったり三世代家族だからこそできる逸品です。

特製盛り合せ

もう一つおすすめしたいのが、「特製盛り合わせ」。カジキマグロ、イカ、コロッケ、エビ、カレイなどがてんこ盛りです。

これで1,400円というから驚愕! どれも美味でほっぺたが落ちますが、とくに印象的だったのがコロッケとエビ。コロッケは厳選した肉を生でじゃがいもに混ぜて揚げているそうで、肉の甘さと旨みをダイレクトに感じられます。エビはとにかくビッグサイズ! プリッとした歯ごたえとジューシーさは悶絶もの。おいしいものをたらふく食べてほしいという小春軒の心意気を感じます。

信条「気どらず美味く」を代々継承してきた「小春軒」。人形町生まれ&育ちの生粋の江戸っ子である四代目の小島祐二さんは、街の魅力について「平和で穏やかなところ。三味線の音が響いていたり、せともの市などが催されたりと風情や文化があっていいですよ」とのこと。

カフェアンドデリ

そしてもう一軒、日々の食生活を支えてくれるお店が、江戸料理の名店「よし梅」が手掛ける「Yoshiume Cafe&Deli」。

ショーケース

デリはテイクアウトが可能で、ショーケースには旬の素材を使った体に優しい野菜たっぷりのお惣菜から珍味、カレーまでさまざまなメニューが並びます。江戸料理のエッセンスを残すデリカテッセンは、ランチにこだわりたい派には垂涎間違いなし!  2階のカフェでは、デリをランチセットとして持ち込んで、フレーバーティーやオーガニックハーブティーなどと一緒に一服もできます。

●丁寧な暮らしを叶えてくれる唯一無二の個店たち

コーヒーショップ

午後のひとときは、ここ「SUNNY COFFEE」で。コーヒーショップに長く勤め、コーヒーをこよなく愛する上杉夫妻が2014年にオープン。世界で通用する米国スペシャルティコーヒー協会公認のバリスタ資格を持つお二人が、グアテマラやぺルー、ブラジルなど世界から選りすぐった生豆を、店内でじっくりと直火焙煎。本格派のスペシャリティコーヒーをリーズナブルに味わえるとあって、近隣住民たちに厚く支持されています。

スタッフ

朝8時からはモーニング営業。ワンコインでトーストや手作りのサンドウィッチをいただくことができます。「人形町はビジネスパーソンや観光客、お子様連れなど、いろいろなタイプの方がいらっしゃいます。お客さまの人柄もとても良くて、ここにお店を出してよかったなと常々実感しています」と街の魅力を語ってくれました。

本日のコーヒー

店内で提供されるコーヒーの紹介には、それぞれ「マスカット」「トロピカルフルーツ」「黒糖」「ピンクグレープフルーツ」など、およそコーヒーらしからぬ風味のイメージが並びます。......が、その表現は適格だから驚き! 毎日通う人も多いということでコーヒー豆は日替わりで用意しています。

メニュー

なかでもコーヒーのおいしさを直球で感じられるのが、本日のコーヒーとして提供している「エアロプレスコーヒー」。中煎りの豆をメインに使用しているそうで、まるでフルーツのような爽やかさ! ほかではなかなか味わったことのない風味に驚かされます。

商品を買うだけではなく、オーナーのユニークな思想やこだわりに触れられるのが、チェーン店にない個店の魅力。そんな素敵な個店がそこかしこに点在するのも人形町ならではです。今回の街歩きで見つけた、「Wineterior(ワインテリア)」もその一つ。

ワイン

元外資系航空会社の客室乗務員だった岩本涼香さんがワインの"ジャケ買い専門店"として2016年9月に開業。「たくさんの銘柄があるワインの魅力をラベルの切り口から知ってもらいたい」と、ジャケットがおしゃれで物語性を醸し出しているものばかりを仕入れています。

ワインのラベル

ワインソムリエとインテリアコーディネーターの資格を持つ岩本さんならではの感性で選りすぐり、「暮らしの中で楽しめるワイン」を追求。ホームパーティーで楽しむワイン講座なども開催しています。販売しているワインは、3,000円台が中心とお手頃です。

ワイン

「丁寧に造っている醸造家の方こそ、ラベルにこだわっていらっしゃいます。デザインにも生産者のワイン造りへの想いが込められているんですよ」と岩本さん。ふらっと立ち寄ればワイン談議にも花が咲きます。おすすめのワインは試飲させてくれるのもうれしいです。

雑貨店

こだわりのテーブルアイテムや台所道具をそろえるなら、"ほんの少しだけ贅沢な暮らし。"をコンセプトに掲げる生活道具屋「surou n.n」へ。 2008年1月に東京日本橋の人形町に旗艦店をオープンし、オンラインでもたくさんのファンを持っているセレクトショップです。

店内

店内には、和ろうそくや銅鋳物製品、モダンな感性を持つ職人が手掛ける伝統工芸など、趣向が凝らされたものから、ちょい古なレトロ食器、多肉植物、時計、バッグ......などなど、生活のあらゆる場面で使う道具が詰め込まれた大人の宝箱のような空間。

店内

広く万人に受け入れられなくてもいいという姿勢で、「surou n.n」が好きな物ばかりをセレクト。「見栄や虚勢でなく、本当の自分が気に入れるもの」、お店を訪れた人がそんな+αのディテールを感じ取れる商品をそろえているそう。

今回の街歩きで人形町を象徴しているように感じられたのは、「小春軒」が信条にしている"気どらず美味しく"という言葉。飾り気はないかもしれませんが、人が本当に価値を感じる良きものを脈々と守ってきた街だからこそ、カッコつけたり、見栄を張ったりする必要がないのでしょう。モノ・コトの移り変わりが早い東京の中心地に位置しながら、歴史と文化が何重にも重なる人形町。この街での暮らしは、きっと"自然体の自分"を叶えてくれるはずです。

今回紹介したエリアの主なマンション

「水天宮」がある日本橋蛎殻町2丁目の周辺マンション

プレール・ドゥーク水天宮
ガラ・ステージ日本橋
マイキャッスル水天宮前 弐番館

「江戸落語からくり櫓(やぐら)」「人形町 今半本店」「Wineterior(ワインテリア)」がある日本橋人形町2丁目の周辺マンション

グランスイート日本橋人形町
リビオ日本橋人形町
ダイアパレスグランデージ日本橋

「小春軒」「Yoshiume Cafe&Deli」「surou n.n」がある日本橋人形町1丁目の周辺マンション

リガーレ日本橋人形町
藤和日本橋人形町コープ
ガラ・ステージ日本橋人形町

「SUNNY COFFEE 人形町」がある日本橋蛎殻町1丁目の周辺マンション

ブロードシティ東京
ザ・パークハウス日本橋蛎殻町レジデンス
デュークスカーラ日本橋

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取材・執筆:末吉陽子
編集者・ライター。1985年、千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒。コラムやインタビュー記事の執筆を中心に活動。ジャンルは、社会問題から恋愛、住宅からガイドブックまで多岐にわたる。
http://yokosueyoshi.jimdo.com/

記事編集:有限会社ノオト

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