知っておくと交渉も有利に? 売却&投資時に役立つ不動産用語あれこれ

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不動産の売却、投資には業界ならではの専門用語が用いられます。取引や交渉にあたって、どんな用語を知っておくべきなのでしょうか。

ソニー不動産の田中章一さんに、まずは不動産売却時に頻出の不動産用語を解説してもらいました。

●不動産売却編

机上査定(簡易査定)・訪問査定

売却を希望する不動産の価格を知りたい場合は、「査定」を行います。価格の算出については「査定価格と成約価格―不動産を査定価格よりも高く売るためのポイントとは」で解説していますが、ここでは机上査定(簡易査定)と訪問査定の違いを確認しましょう。

机上査定は現地にお伺いしない簡易査定で、過去の成約事例や、現在の売出事例等を基に算出するもの。どのぐらいで売れるのかという概算価格を知りたいお客さまにおすすめしています。あくまで概算価格ですので、本来であれば査定価格に上乗せできる可能性がある『売主さまが訴求したいアピールポイントや、『付加価値を考慮しにくいため、よりご納得のいく査定価格をご希望の方は訪問査定のほうが望ましいです。また、ご売却をする決定的な動機がないお客さまにとっても、実際に物件を見る訪問査定は良い契機となるかもしれません」(田中さん 以下同)

留意しておきたいのは、査定の根拠は仲介会社各社ともほぼ共通のデータを基にしているため、各社で査定価格が大きく変わることはない、ということ。そして、査定価格=売却確定価格ではないので、高値査定の仲介会社=良い会社と思いたくなりますが、訪問査定前の査定価格差で一喜一憂しないほうがいいということです。

「前述の通り、机上査定価格は各社とも大体同じになるもの。ソニー不動産の訪問査定の特徴は、売主さまが大事にしておられるポイントをエージェントが詳細にヒアリングし、またプロの目でご所有不動産の付加価値を見出していくこと。そのうえで、どうやったら高く売れるかという販売戦略を売主さまと一緒に立てていきます。そう考えると、訪問査定が望ましいということになるでしょう」

専任媒介契約・専属専任媒介契約・一般媒介契約

査定の次に進むステップが媒介契約。仲介会社に売却活動を依頼するための契約で、その形態によって専任媒介契約・専属専任媒介契約・一般媒介契約という3タイプに分かれます。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は、売主さまが依頼できる仲介会社は一社だけというもの。複数の仲介会社と締結できるのが一般媒介契約です。私たちソニー不動産がおすすめするのは専任媒介契約ですが、これは売主さまにとって一番有利な契約形態だと考えているからです」

それは一体、なぜなのでしょう?

「まず、一般媒介契約は専任媒介契約と専属専任媒介契約と異なり、複数の仲介会社と売却を依頼する契約(媒介契約)ができます。そのため、一般媒介契約では売主さまが自ら複数の仲介会社に声をかけ、情報を提供する必要があり、各仲介会社との連絡などもお客さまご自身が行う必要があるため手間がかかります」

そして、ソニー不動産ではその煩雑な手間を担う専任媒介契約を行っているそう。

「私たちの場合はお預かりした情報をさまざまな仲介会社に積極的にご紹介し、仲介会社のお客さまに紹介してもらうことや、各種ポータルサイトや自社ホームページなどに掲載してもらい、情報を可能な限り広めます。訪問査定の際に一般媒介契約を望まれるお客さまは、多くの仲介会社に依頼した方が早く買主さまが見つかる、とお考えになられるようですが、ソニー不動産にお任せ頂ければ、手間をかけずに、より多くの情報を、よりスピーディーに買主さまに提供していくことが可能です」

では、専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いは?

「仮に売主さまがご自身でお声掛けされた方(たとえば、友人や同じマンション内の知人など)に売却するとします。これを自己発見取引といいますが、この場合専任媒介契約なら依頼した仲介会社を通さずに、ご友人などと直接ご契約をしていただくことも媒介契約上は可能となります。一方、専属専任媒介契約では、そのような場合でも、依頼している仲介会社を通して売買契約を締結することになり、選択の余地なく仲介手数料がかかります。専任媒介契約は自己発見取引を行った場合には、仲介手数料が発生しないため、これが大きなメリットになるのでおすすめしています」

引き渡し猶予

不動産の売却では、自宅を売却して新しく買った家に「住み替え」というシチュエーションもよく見られます。ここで出てくるワードが「引き渡し猶予」です。

新しい家に住み替える際、物件を売却したお金を受け取らなければ新しい家の代金を支払えない場合もあるでしょう。その際に、物件の買主に引き渡しを待ってもらう。つまり、引き渡し猶予の期間を考慮してもらう必要が出てくるのです。

「不動産取引の基本として、引渡しの前日までには建物を空にし、引渡し当日に売買代金受領と引き換えに、買主さまに抵当権などの負担を無くし所有権を移転して不動産を引渡さなければなりません。売買契約の条件として売主さまが引き渡し猶予を希望しそれが売買代金に織り込まれていたら、トラブルになることはまずありません。問題になるのは、売却物件の値引き交渉後に猶予を持ち出すケースです」

具体的に、どんな問題が生じるのでしょう?

「値引き交渉のときには妥協せずに満額で契約を進めて、その後に『入居は1週間待って』といわれると、買主は不満がたまり、気持ちの良い取引ができなくなってしまいます。そういったことがないよう、私たちエージェントは『ここは値引きしますから引き渡しを1週間待ってもらえますか』といったように状況に応じて交渉します。しかし、引渡し猶予が必要なことを事前に買主さまにお伝えしていない場合は往々にしてトラブルを招きかねません」

不動産用語を確認する男性

次に、「不動産投資」関連の重要ワードを押さえていきましょう。

●不動産投資編

キャピタルゲイン/インカムゲイン

不動産投資のリターンは、物件の売却益と定期的な家賃収入の2つ。売却益はキャピタルゲイン、家賃収入はインカムゲインと呼ばれており、どちらに重きを置くかで投資の方向性が大きく左右されます。

「近年、不動産投資を始める会社員の方が増えています。その理由として、安定した不労所得を長きにわたって得られること、つまりインカムゲインを年金代わりにしたいという意向があります。現在、不動産投資を推す論調も同様のニーズを背景にして、インカムゲインのメリットを推していますね。ただ、インカムゲインばかりを注視し、キャピタルゲインを無視するようでは、大きなリスクが生じてしまいます」

セールストークに惹かれて購入しても、いざという時に正当な価格で売却できなくなるケースもあるそう。何らかのトラブルがあった場合を想定し、キャピタルゲインも綿密に計算しておくことが欠かせないようです。

「土地値が3,000万円、アパートの価格が3,000万円、合計6,000万円の投資物件を管理費込み1億5000万円で勧められ、『30年間の安定した家賃収入で将来も安泰です』という一言で契約してしまった、というケースを耳にしました。土地と建物の評価を金融機関に見せても6,000万円の融資がせいぜいでしょう。購入した段階ですぐに売却したら、そのままの価格で売れるのがキャピタルゲインの相場。『0円で始める不動産投資』といったような言葉に惑わされず、キャピタルゲインが得られる物件かどうかというチェックを欠かさないことです」

オーナーチェンジ

居住している賃借人はそのままで売買されるのがオーナーチェンジ物件です。賃貸借契約を継続しつつオーナーが代わるため「オーナーチェンジ」と呼ばれています。投資に際しては利回り、物件のコンディションなどの情報確認が欠かせませんが、オーナーチェンジ物件の買主は基本的に部屋の状態を確認することができないのが特徴になります。

「買主さまが押さえておくべきなのが、物件に住んでいる人の職業や家族構成、居住歴、家賃滞納などの情報です。これらのポイントを明らかにしておくことが売主さま、買主さま双方のチェックポイントになるでしょう。室内が見られない以上、査定もおのずと訪問査定ではなく机上査定になります。また、賃借人が退去したら自分が住みたいといっても、投資用不動産となるので住宅ローンを組むことはできません。購入資金は投資用のローンを利用することになります」

表面利回り・実質利回り

不動産投資を選定する際に気になるのが利回りです。収益がどれだけ得られるかは、資金計画を立てていく際にも欠かせないポイントになるでしょう。しかし、投資物件の売買情報に記載されているのは、利回りといっても「表面利回」りです。

表面利回り=年間の家賃収入÷物件価格×100

表面利回りは上記の計算式から導き出されますが、これには諸経費が計算に入っていません。「収益性を正確に知るためには、実質利回りの確認が欠かせない」と田中さんは強調します。

実質利回り=(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

「マンションであれば毎月払わなければいけない管理費、修繕積立金そして、固定資産税等。これらの諸経費を一年間にどれだけ払うのかを控除したのが『実質利回り』です。たとえば、家賃が月10万円。売値が2,400万円の物件があったとしましょう。表面利回りは5%と、平均的な利回りに見えますが、仮に管理費・修繕積立金が月5万円、固定資産税などが年間20万円だったとします。この場合の実質利回りは2%を切ってしまい、投資としてはあまり見合わない物件になります。物件を検討する場合、広告などで表示される表面利回りから目にすることになりますが、実質利回りを確認することから検討が始まると考えておいてください」

サブリース

不動産業者が所有者から物件を一括して借り上げ、入居者の募集・契約・管理を一括して行うというスタイルです。入居者の有無にかかわらず、所有者は、サブリースを行う不動産業者から一定の賃料が得られることから、マンションなどの空室リスクに対応できるのがメリット、とされています。

「オーナーにとっては安定したインカムゲインにつながるので、サブリースの仕組みそのものは悪くないものだと思います。ただ、一部で報道されているように、オーナーにとって不利な条項を盛り込んだ契約が散見されるのも確かです」

具体的には、どのような例があるのでしょうか?

「たとえば、『2年契約で家賃を保証する』とうたいながら、『サブリース契約の解約時には6カ月分の家賃相当額を不動産業者に払うこと』という条項があったりします。安定のための家賃保証なのに、いざという時にはマイナスの収支になってしまう。これはオーナー本位のサービスとはいえません。これはサブリースに限ったことではありませんが、契約時に疑問を持ったら、ほかの不動産会社にセカンドオピニオンをもらい、客観的に検討してみることをおすすめします」

管理委託

不動産投資を続けていくためには、入居者の募集や物件の清掃管理、退去時の原状回復など、さまざまな管理業務の費用があります。空室期間があると家賃収入が減ってしまうため、家賃滞納者への督促をはじめとする入居者の管理にかかる手間は大変です。また、部屋が汚かったり整備が行き届いていなかったりした場合、物件の品質・評価は下がってしまいます。不動産投資において、入居者・建物の管理は不可欠な要素になるのです。

「オーナーが賃借人を募集する際は、ほとんどが不動産会社にアシストをお願いすることになるでしょう。管理をどれだけ任せるかは、この不動産会社との相談になります。すべて、または一部の管理業務を業者に任せる管理委託を検討するのは、前述のオーナーチェンジ物件を購入したとき。家賃の集金代行や家賃保証までと複数あり、どの業務を委託するかを選択することができます。清掃や修繕、リフォームの手配など自分でやれることもあるでしょうが、滞納家賃の督促は個人ではなかなか難しいと思います。ここは管理会社に任せたり、保証会社を入れたりして、委託を選ぶのが良いと思います」

「不動産売却」と「不動産投資」関連の代表的な用語を解説してきましたが、不動産取引を行うときは、物件の資料を見た時にそこに書かれている用語の意味を把握することが、失敗を防ぐ方法かもしれません。

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取材・文:佐々木正孝
ライター/編集者。有限会社キッズファクトリー代表。情報誌、ムック、Webを中心として、フード、トレンド、IT、ガジェットに関する記事を執筆している。

編集協力:有限会社ノオト

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取材協力

写真:田中章一
田中章一

リノベーション&リセール推進室。不動産デベロッパー、不動産仲介会社、金融機関を経て2015年にソニー不動産に入社。マンション、戸建ての売買取引をはじめ不動産投資、住宅ローンの全般に精通している。