2017年の不動産業界はどう動く!? エージェント座談会

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2016年もそろそろ終わり。今年は、マイナス金利の影響で住宅ローン金利が固定・変動型がともに過去最低水準となるなど、不動産業界にも影響がありました。となると、気になるのが2017年の動きです。ソニー不動産にて、不動産売却、不動産購入、資産コンサルティングという各部門の責任者に集まってもらい、2017年の動向を予想してもらいました。

【登壇者】

青柳売買事業・不動産戦略担当
執行役員
青柳政孝

上出売却コンサルティング事業部
部長
上出昇

望月売却コンサルティング事業部
部長
望月弘

田中購入コンサルティング事業部
課長
トップエージェント
田中章一

現場感覚では不動産価格はピークアウト?

――まずは、2016年の不動産業界を振り返って頂けますでしょうか。

青柳

2012年から、不動産、特にマンションは一本調子で価格が上がってきました。これはグローバル化の進展による外国人投資家の資金流入、建設費高騰による価格の上昇、低金利の後押しによる実需(所有者が自分で使用する不動産購入)の拡大などが背景にあります。2016年は、この右肩上がりの傾向に若干の変化が出てきた年として記憶されるかもしれません。

上出

確かにそうですね。この上がり方はいつまで続くのか......おっかなびっくりで始まった年でした。金利がこの調子で推移するのであれば、今の価格帯は維持できるのではないかと思いますが、社会情勢の変化でどうなるか分かりません。好調な値上がりには税制の後押しもあります。誰もが先行きに不透明感を感じながら走っているのは間違いないでしょう。

田中

価格はまだまだまだ上昇傾向にあると思っておられるオーナーさんは多いですね。しかし、現場感覚ではもうピークアウトしているのではないか、というのが正直なところです。売主目線に立つと、「周囲のマンションが高値で売却できているから、まだうちも売れる。2020年まで上がるだろう」というのが希望的な見立て。しかし、売出物件はだぶついている印象で市場に出しても売れないマンションがちらほら見えてきました。

一方、買主目線に立つと「今のマンション、高すぎだよね」というのが正直なところだと思います。冷静に情報収集されている方からすると、現実と売り値に乖離(かいり)が出てきています。高値で出しても売れない、「在庫」がどんどん増大していく現象が2017年には見られるのではないでしょうか。

青柳

補足すると、不動産業界でいう「在庫」とは、マーケットで売りに出されている中古物件のこと。これが確かに増えてきていますね。売買が活発なのに「在庫」の増大に歯止めがかかっていません。どんどん売りに出されて、どんどん在庫物件が増えている。それが現在の中古市場です。

――不動産投資の観点からはいかがでしょう。

望月

一般個人向けのリテールに比べ、供給数が絶対的に少ないのが投資物件ですが、売主と買主の意識の乖離(かいり)は共通しています。売主が考える利回りと買主が考える利回りに差が出てきており、そこで成約しづらくなっているのは無視できません。

青柳

確かに、利回りは下がってきている印象がありますね。エリアや物件ごとにケースバイケースだとは思いますが、望月さんはどう見ていますか。

望月

ケースバイケースで何ともいえないところがありますが、大手不動産の案件では2%台での取引もあります。ただ、築年数が経っていると利回り10%でも売れません。融資もつかないし、空室リスクが高い。このような物件をどう売るかは仲介会社の戦略、アドバイス次第ということになるでしょう。

ホワイトハウス

トランプ新大統領が就任する2017年、住宅ローン金利がついに動く?

――価格動向を概括していただきましたが、気になるのは2017年の動きです。16年11月にはアメリカでトランプ新大統領の選出というトピックもありました。円安株高の懸念から、不動産市場への影響も指摘されています。

上出

トランプ次期大統領は、どう動くか分からない。不透明感は否定できませんね。

青柳

我々はグローバル経済の専門家ではありませんから、「分かりません」というのが結論になりますが(笑)。トランプ大統領が誕生したら円高・株安となると専門家は予測していましたが、実際は円安になっていますよね。上出さんが言う通り、マーケットがどう動くかはまったく読めない。

ただ、一つの見方ではありますが、アメリカでは金利が上昇するという予測はあります。そうなったら、連動して日本でも金利が上昇する可能性はあるでしょう。その時は日本の住宅ローン金利、投資用不動産の貸し付け金利にも影響が及ぶはずです。

――「今年は上がる」と言われ続けて、実際は下がり続けている住宅ローン金利にも変化が見られる、ということでしょうか。

田中

不透明としか言いようがないですね。これは金融機関のスタンスを見ても明らかです。銀行などは融資の可否を審査するための「審査金利」を設定していますが、これが見事にバラバラ。メガバンクの中でも2.1%のところがあれば、4%のところもある。この数字だけ見ても、予測はさまざまということが分かるでしょう。

上出

実際の売買への影響はどうでしょう。住宅ローン金利は1%を切っている現状ですが、1.5%程度に上がっても実需は崩れないと思っています。

青柳

私としては、1.5%台になったら、投資に影響が出てくると思いますが......。

望月

副業として不動産投資を行っているサラリーマンには影響があるでしょうね。住宅ローン金利と連動して考える方が多いですから。金利高になると手を引こうというマインドが目立ってくるかもしれません。

上出

リーマンショックのときは5000万円以上のマンションから売れなくなりました。一方、2000~3000万円台のマンションは堅調で、実需として動きがありました。

東京タワー

「チャイナマネー」「東京オリンピック」はポジティブファクターか?

――金利上昇の気配は、投資向け物件の動きにダイレクトに表れるということですね。その高値を押し上げていた中国系、台湾系のマネーについてはいかがでしょうか。小売市場では「爆買い」に陰りが見られるという報道もあります。

青柳

2016年のアジア市場において、「最も優良な投資先は東京」だと勧めているレポートもあります。台北や香港と比べて、東京の利回りは高い。銀座、六本木といった東京のブランド立地に価値を感じる層も健在です。そして、ひと口に中華圏のマネーと言っても中国、香港、台北とさまざまですし、階層ごとにそれぞれニーズは違います。マネー流入の余地は、なくなってはいません。

上出

「爆買い」と同様、報道などで食傷気味なのが「東京五輪特需」ですね。現場の感覚では、市場が盛り上がっているかといわれると微妙です。インフラの整備がどこまで進むのか分からないわけですし、やはり、実際に構造物なりが完成して見えてこないと活気も出ないでしょう。

座談会の様子

2017年、不動産売買で念頭に置くべきことは

――2017年の干支である酉年は「騒ぐ」という相場の格言もありますが、市場はどう動くでしょうか。2017年の展望と、売買を考えている方へのアドバイスをお聞かせください。

上出

不動産の市況と株式市況が必ずリンクするわけではないですが、毎年何かしら騒いではいますからね。ただ、株式市況が活発にならないと不動産を買うマインドにならないのは確かでしょう。これまでの座談で皆さんが指摘してきた通り、いろいろなマーケットで先行き不透明感があります。不動産については、今買うべきか? 今売るべきか? よりシビアに見なければいけない年にはなるでしょう。売るタイミング、スケジュールが、より大事になっていく。私たちはそこに寄りそえる会社だという自信があります。

青柳

今までのように全部が良くなる状況ではなく、物件ごとに勝ち負けがハッキリする年になると思います。売りたいと考えている方はスケジュールをどう考えるかがポイントになります。じっくり売るか、期限があるかで条件が変わってくる。状況の変化に応じ、機動的に販売戦略を立て直すことが求められるでしょう。

望月

そうですね。年間を通して計画を立てるのが非常に困難になってきていると思います。たとえば、四半期ごとにきめ細かく戦略を立てていかなければ。情報を厚く提供し、正しい投資、透明感のある投資を支えるのが使命だと考えています。先行きが不透明だからこそマーケットの動きを見極め、的確に伝えていくことに重点を置いていきたいですね。

田中

そう、私がこれまで不動産取引を支援してきて思うのは、正しい情報をいかに提供するかということです。消費税の増税時に起こったことが良い例だと思います。過去の消費税引き上げに際して、不動産市場では必ず駆け込み需要が発生。住宅の価格が上がり、物件がなくなってきました。個人取引で物件価格に消費税がかからない中古市場でもそうなのです。正しい情報が周知されていないから、市場が動いてしまったのです。不確定な時代には、このような事案が多数発生してくるでしょう。いついかなるときであっても、正しい情報を発信できる不動産会社でありたいと思います。

青柳

ソニー不動産が理念として掲げるのは「公平性」「透明性」「合理性」です。マーケットが不透明な2017年こそ、この三本柱をしっかりとさせ、お客さまの価値につながるサービスを提供して参ります。

取材・文:佐々木正孝
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ライター/編集者。有限会社キッズファクトリー代表。情報誌、ムック、Webを中心として、フード、トレンド、IT、ガジェットに関する記事を執筆している。

編集協力:有限会社ノオト

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