2017年後半~2018年の不動産業界はどう動く!? エージェント座談会

2017年後半~2018年の不動産業界はどう動く!? エージェント座談会のイメージ画像

  • シェアする
  • 共有する
  • ブックマーク
  • LINEで送る

首都圏の マンション価格が新築、中古ともにじわじわと上昇してきた中、不動産投資熱も依然活発です。住宅売買の最前線から不動産業界を展望すべく、ソニー不動産の不動産売却、不動産購入、不動産投資、買取再販の部門を統括するエージェントらが、2017年上半期を振り返り、下半期の動向を予測しました。

<登壇したエージェント>

1708_zadankai2018_uede.JPG

住宅コンサルティング事業部
事業部長
上出昇

1708_zadankai2018_motiduki.JPG

資産コンサルティング部
部長
望月弘

1708_zadankai2018_tanaka.JPG

リノベーション&リセール室
田中章一

1708_zadankai2018_hosokawa.JPG

購入&リフォーム課
シニアエージェント
細川司郎

●2017年上半期の不動産業界の状況をエージェントはどう捉えている?

上出:中古住宅の流通マーケットについて振り返ってみると購入希望顧客の数は減っておらず、購入意欲も依然旺盛だと感じています。ただ、中古マンション市場を見る限り、売買取引よりも在庫の方が増えている印象があります。

田中前回の座談会でも出た用語ですが、マーケットで売りに出されている中古物件が「在庫」ですね。実需、つまり居住用としてマンションを買おうとしているニーズは変わらないのですが、物件がどんどん売りに出されて、在庫が積み上がり続けています。こうなると、適正価格でない物件は売れにくくなります。

細川:適正価格でない物件が売れないというのは、インターネット利用者の拡大に伴い、お客さまが不動産マーケットに関してとても勉強されている、というのが背景にあるのではないでしょうか。狙っているエリアのマンションが●●●万円で売れた――というデータを調べられている方もいらっしゃいます。

田中:私は中古マンションをリノベーションして再販売する部署を担当していますが、新築マンション価格が高止まりする中、細川さんが言うように消費者、買主がすごく勉強していると感じます。新築マンションが高いのならば、中古マンションを買って、自分たちの好みのスタイルにリノベーションしたいというニーズが増えています。昨年来、中古マンションのリノベーション市場はスピード感を持って拡大し続けています。

上出:不動産流通価格の自動査定などが浸透し、一般の消費者が相場観をつかみやすくなっています。不動産流通価格が可視化され適正な不動産価格の流通物件が増える中、買主が判断しやすくなっている状況もあります。

ただ、販売成約数は変わらないけれども市場に在庫が増えていく――これは、本来なら値下がりを示唆するサインです。しかし、なかなか価格は下がりません。これは、不動産投資の熱が冷え込んでいないからではないでしょうか。

望月:資産コンサルティングの観点からお話すると、不動産投資についてはいまだに旺盛です。上半期の傾向として、投資の形態に広がりが出てきたのが大きな特徴といえるでしょう。具体的には、マンションやアパート、ビルといった一棟ものだけではなく、ホテルやシェアハウスも投資対象に入ってきています。商品が流動的なものにも広がり、投資の数自体も増えてきているのが現状ですね。

上出:実需担当から言わせてもらえれば、都心の物件は不動産買取り専門業者の活動も活発で、まだまだ値崩れの傾向は見受けられません。一方、郊外の一部では値崩れの傾向も見られます。実需顧客のニーズと不動産流通価格の動向の見極めがますます重要になっています。

細川:都心、あるいは郊外でも利便性の高いターミナルの駅近物件は堅調です。これは依然として続く低金利の後押しもあるでしょう。変動金利、長期金利とも上昇するといわれながら、結果的には下がってきました。

購入意欲のある方が低金利の住宅ローンを活用して都心、利便性の高い郊外物件を買っているのが現状です。これは投資も同じで、貸し出しの金利も低下する中、中長期的な視野で安全な資産として不動産投資に傾斜する流れは今後も続くとみています。

1708_zadankai2018_02.JPG

●住宅ローン、投資用金利ともに低水準。気になる金利の動向は? 

――低金利の状況が不動産市場を活性化させているようですが、下半期に変化をもたらす要素はありますか?

上出:金利は金融機関の思惑だけでなく、政府の方針にも左右されると感じています。内需を喚起したければ不動産市場を活性化させるのが効果的ですからね。個人的な見解としては、国民に経済成長を約束している以上、現状ではある程度の低水準をキープせざるを得ないと思います。

望月:そうですね。不動産市場をはじめ、金利の上昇は景気を一気に冷やす可能性があるため、金利の急激な上昇は想定しづらいと言えます。

細川:さらに銀行も貸しどころがないため、急激に動くことはない。低金利のまま、流通性を優先するでしょう。

田中:マイナス金利が継続している状況下で、金融機関は、住宅ローンを主力商品にしていると感じます。

望月:不動産投資についてもその傾向はありますね。安心して貸したいという金融機関の意向が顕著に出ていて、安心と判断した方への金利は低く提供されている。中には住宅ローン金利よりも低い金利で貸し出すケースも見受けられます。

一方で、「借入の条件としては、ある程度の自己資金を入れなければ借り入れができない買主さま」「銀行がローンを貸し付ける際の物件の条件として、多少なりとも瑕疵がある物件の場合、ある程度自己資金がなければ融資されない」と傾向も見られます。ローンの借主に対する条件、物件への融資枠も二極化が顕著になってきました。

1708_zadankai2018_03.JPG

●下半期の業界を見通すためにポジティブ&ネガティブ要素をピックアップ

――これまでのお話で「購入者の目が肥えてきた」「都心と郊外の二極化」「優良な貸主、物件が低金利を享受」といったトピックが挙がりました。これらのファクターは2017年下半期の不動産業界においてポジティブ、ネガティブのどちらに作用するでしょうか。

田中前回の座談会では「価格がピークアウトした」と言及しましたね。買主は冷静に市場を見る中、売主は「まだ上がるだろう」と見立てている乖離についてお話しましたが、今は売主も現実的な価格を見据えつつあるように感じています。だから、高値で売りに出しても、結果的に適正な価格まで下がっていく傾向にあります。

上出:そうですね。ピークアウトした頃は高値でいかにして売り抜けるかという訴求も盛んでしたが、最近不動産会社の中でも「本当に売れる値段を知りたくありませんか?」といったアピールをする会社が出てきました。ソニー不動産は一貫して「適正価格を追求し、その中で高値売却を目指す」という立場ですから、これは望ましい傾向だと感じています。

細川:購入担当からすると、在庫が増えて選べる物件の数が多くなっている状況は良い流れだと思っています。数年前ですと、買いたい人が増える中、物件がなかなか出てこない時期もありましたからね......。今は、お客さまがより多くの情報を自分で検索し比較できること、また在庫が増えていることから、自然に価格調整がなされる状況になってきています。

上出:「都心と郊外の二極化」でいいますと、細川さんが指摘するように郊外は求心力の強い駅、街でなければ値崩れの可能性は高いと感じています。ただし、都心においてはまだまだ再開発案件があり、人を集める仕掛けがある以上、求心力は衰えていかないと思います

望月:再開発でいえば、労働者や建築資材の確保が難しい問題から、東京オリンピック特需が一段落した2020年以降に建て替えを検討しているホテル情報や、日本橋の再生計画をはじめとする都心の再開発についても2020年以降もさまざまな形で供給されていくと思われます。投資の面では、アジア系の外国人投資家のモチベーションも依然として旺盛です。

細川:確かに、現場の感覚でも、外国人投資家は購入も売却も活発です。背景には、日本の不動産における滞納率の低さがあります。

田中:世界的に見たら日本の不動産は魅力的な投資先に映っています。うまくセールスできるシステムがあれば、日本の不動産価格は崩れないでしょう。

1708_zadankai2018_04.JPG

●2017年下半期、不動産市場ではどう動くべきか

――では最後に2017年下半期に向けての展望をお聞かせください。

細川:不動産市場の力強い流れは変わりません。海外での紛争や天変地異といった不確定要素がない限り、購入意欲、流通する物件数、金利動向はこのまま続くでしょう。ターミナル駅・駅近といったポテンシャル・利便性が強みを発揮する状況に変わりはありませんが、過熱した相場がピークアウトしました。自然に価格調整がなされたラインで成約数が増えていくことが期待されます。

田中:新築マンション建設もまだ活発ですので、建築資材や人件費など建築費が気になるところです。私の部署ではリノベーション工事を取り扱っていますので、お客さまに対しては適正な価格や品質でご提供すべく、綿密に販売計画を立てていかなければいけないと感じています。

望月:上半期の概括では「不動産投資がシェアハウス、ホテルなどに広がっている」と述べましたが、広がりは物件だけではありません。不動産が証券化され、投資対象として組み込まれ始めています。その流れは、この下半期にさらに活発化してくるでしょう。ネット上では10万円単位などの小口でクラウドファンディングという形で、自身の興味のある商品への投資ができる商品が出てきていま。この点においては、いまのところ私たちがアドバイスできない部分だけに、慎重な情報収集と判断が望まれるでしょう。

上出:細川さんの言ったように大きな事件、地震、動乱がない限り、不動産については緩やかな価格調整局面が続くと見ています。

そして、田中さんらの分析にある通り、高値で売りに出しても、取引そのものは適正な価格に落ち着くと見ています。一般消費者が多くの情報を持てるようになる中、不動産売買のプロフェッショナルとして、より正しい、そして一歩先の情報を消費者の方に提供して参りたいと思っています。

sasaki.jpg
取材・文:佐々木正孝
ライター/編集者。有限会社キッズファクトリー代表。情報誌、ムック、Webを中心として、フード、トレンド、IT、ガジェットに関する記事を執筆している。

編集協力:有限会社ノオト

この記事をシェアする
  • シェアする
  • 共有する
  • ブックマーク
  • LINEで送る